福地のトンボ

シオヤトンボ(塩屋蜻蛉)

トンボ目 トンボ科

体長 39~47㎜

小形で太めのトンボ。

体は白粉で覆われる。春先早くから姿を現し、植えたばかりの苗代の上を飛んでいる姿がよく見られる。

 

福地では4月から見られます。

福地で見られるトンボの中で、1番最初に見られます。

オオカワトンボ(大河蜻蛉)

トンボ目 カワトンボ科

体長49~63㎜

清流の岩や川岸の草にとまる姿がよく目立つ。

ニシカワトンボに似ているが、やや大きい。

雄はなわばりを守る為に、にらみ合ったまま10~15mほども急上昇し、激しい闘争をする。

はねの色は、雄では橙赤色、淡いオレンジ色、無色の3タイプ、雌では淡い橙褐色、無色の2タイプがいる。

 

福地では4月から見られます。

田んぼの横の水路や小川沿いでよく見る事が出来ます。

ヒメクロサナエ(姫黒早苗蜻蛉)

トンボ目 サナエトンボ科

体長40~46㎜

川の上流にすむ小形のサナエトンボ。

地理的変異があり、西日本に生息する個体はひとまわり大きい。

羽化は朝方から午前中に行われる。羽化した個体は水辺から離れた林で過ごす。成熟すると水辺に戻り、水辺の石や植物とまってなわばりを確保するが、他の雄が入ってきてもあまり気にしない。

 

福地では5月に入ると見られますが,個体数は少ない。

ホソミオツネントンボ(細身越年蜻蛉)

トンボ目 アオイトトンボ科

体長34~41㎜

成虫で年を越すイトトンボ。

冬、日当たりのよい崖下などでササ、シダ、枯れ枝などに頭をくっつけるようにしてとまり、寒さをじっとしのいでいる姿が見られる。

羽化した成虫は、水辺からかなり離れた丘や山腹の林に移動し、晩秋まで昆虫を食べて暮らす。

雑木林の中やネザサの草むらなどで越冬。

 

福地では5月初めから見られます。

田植えの頃に多く見られ、タンデムもよく見られます。6月から7月には田んぼで羽化する所もよく見られます。田んぼで見られるイトトンボの中で一番個体数が多い。

シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)

トンボ目 トンボ科

体長48~57㎜

腹部の白粉を塩に見たてて和名がついた。

ごく普通に見られ、日本では最もなじみの深いトンボ。

雌の中には、まれに雄のような個体に成熟する雌もいるが、複眼の色が緑色のままなので、見分けがつく。

産卵時に水をはじき飛ばして卵を散らばすために、雌の腹部の先の方が少し広がっている。

 

福地では5月初めから見られます。

田んぼでタンデムして飛んでいる姿や、産卵している所が見られます。

オオシオカラトンボ(大塩辛蜻蛉)

トンボ目 サナエトンボ科

体長40~46㎜

シオカラトンボ同様、体が白粉で覆われるが、より太めで、青みが強い。

シオカラトンボが明るく開けた環境を好むのに対して、オオシオカラトンボはやや薄暗くて小さな水辺を好む。

雄はなわばり行動が激しく、他の雄や他のトンボを追い払う姿がよく見られる。

 

福地では5月後半から6月に見られるようになります。

 

アキアカネ(秋茜蜻蛉)

トンボ目 トンボ科

体長36~43㎜

最も代表的なアカトンボ。

夏の暑い時期を山の上で過ごし、秋に群れで平地に下りてきて、集団産卵する事で有名。

アキアカネは、活動すると体温が気温より10~15℃も高まるために、30℃を越すような平地では死んでしまう。その為に日中の気温が20~25℃の場所を求めて高い山に移動する。

 

福地では6月から見られ、田んぼで羽化する所がよく見られます。

9月初めの稲刈りの頃には、田んぼ上空を多数のアキアカネが飛んでいるのを見る事が出来ます。

ホソミオツネントンボとともに、田んぼで多く見られる個体です。

コオニヤンマ(小鬼蜻蜓)

トンボ目 サナエトンボ科

体長77~89㎜

体が大きいわりに頭が小さく、後ろあしが長いのも特徴。

日本産サナエトンボの中で最大で、世界でも上位にランクされる大きさ。

幼虫は体が大きく、腹部はうちわのように扁平で広く、その特異な姿から他の種類とすぐに見分ける事が出来る。

川の底に張りつくようにして暮らしている。

 

福地では6月頃から田んぼの横の小川で見られます。

ダビドサナエ(だびど早苗)

トンボ目 サナエトンボ科

体長40~51㎜

和名のダビドはフランス人の生物学者の名前に由来するもので、その功績に献呈された。

サナエトンボ科の中ではやや小型の部類に入り、胸部側面にはっきりとした黒い筋が2本入る。

成虫は4月下旬頃から羽化が始まり、7月上旬頃まで見られる。羽化後は水域近くの林縁などで摂食活動を行う。未熟期は複眼が薄い緑色であるが、成熟するとこくのある緑色に変わる。

成熟個体は、小規模で水質のきれいな河川の上流域から中流域にかけて、流れの近くの葉の上などによく静止している。雄は流域の石の上などで縄張りを形成し、雌を見つけるとすぐに交尾する。産卵は雌が単独で、空中をホバリングしながら卵を落下させる方法で行われる。

 

福地では、6月に見る事が出来ましたが、個体数は少ない。

キイトトンボ(黄糸蜻蛉)

トンボ目 イトトンボ科

体長37~44㎜

ちょっと太めの黄色いトンボ。

雌はやや緑色がかかった黄色の体で、なかにはかなり緑色の強いものもいる。

高知県や和歌山県、三重県などでは、年2回発生する。夏から秋にかけて現れる成虫は、春先に現れる成虫に比べると、より小さい。

成虫は羽化した後も、水辺から離れない。

 

福地では、6月~7月に見られます。個体数は少ない。

アジアイトトンボ(亜細亜糸蜻蛉)

トンボ目 イトトンボ科

体長26~31㎜

アオモンイトトンボをひとまわり細くした感じのイトトンボ。

年2回発生。春から初夏に羽化するものは大きいが、晩夏に羽化するものは小さい。

交尾は午前中に行うものが多いが、夕方になっても交尾するカップルが結構いる。交尾は数時間とたいへん長い。雌は時に水中に潜って産卵することもある。

 

福地では7月に見る事が出来ましたが、個体数は少ない。写真の個体は未成熟雌。

ホソミイトトンボ(細身糸蜻蛉)

トンボ目 イトトンボ科

体長30~38㎜

細長くスマートで、胸部側面と腹端が青いイトトンボ。

頭部後部にある紋が大きい。成虫で越冬する。

やや小形な夏型は初夏~秋に、越冬型は秋~翌年春に出現。

越冬型は春に鮮やかな青色を帯びる。

 

福地では7月に見る事が出来ましたが、個体数は少ない。

グンバイトンボ(軍配蜻蛉)

トンボ目 モノサシトンボ科

体長38~41㎜

雄の中あしと後ろあしが白く、軍配状に広がったイトトンボ。

なわばり内での威嚇や雌への求愛では、このあしを広げて自己アピールを行う。

若い個体は草むらでしばらく暮らし、成熟すると流れに戻る。木陰の湧泉やその水の流れ出す周辺に生息するが、環境破壊で近年そのような場所がが減り、減少した。

 

福地では7月に見る事が出来ましたが、個体数は少ない。

ショウジョウトンボ(猩々蜻蛉)

トンボ目 トンボ科

体長41~53㎜

雌雄ともに成熟すると真っ赤になるため、体の色を中国の空想上の怪獣「猩々」の赤い髪に見たてて、この和名がつけられた。

夜間に羽化し、朝になると近くの林に飛び立って行く。

幼虫は藻類の間に潜んで暮らしているため、池の掃除などで藻が取り去られてしまうと、死に絶えてしまう。

 

福地では7月頃からよく見られます。

オニヤンマ(鬼蜻蜓)

トンボ目 オニヤンマ科

体長90~110㎜

和名の由来は、恐ろしげな顔つきと黒と黄色の模様が、トラ柄のふんどしをした鬼を連想させるため。

日本産のトンボで最大種。

幼虫は渓流の泥底で生育し、2~4年ほどで羽化する。

産卵の仕方は豪快で、降下して腹が水底の砂泥に突き刺す時に、泥が舞い上がって水面が濁る事があるほどだ。

 

福地では、6月から田んぼの横の小川で見られるようになります。

ハグロトンボ(羽黒蜻蛉)

トンボ目 カワトンボ科

体長57~67㎜

暗闇の中を黒いはねをはためかせて飛ぶ幽玄な姿から、神様トンボなど多数の別名で呼ばれる。

未成熟個体は暗い場所を好み、羽化後しばらくは水辺の林や、社寺森などで暮らす。成熟すると明るい水辺に戻る。

幼虫は水草にしがみつくように暮らす。

他のカワトンボ類のような儀式ばった配偶行動はない。

 

福地では、7月から田んぼの横の小川や、用水路で見られます。

アオハダトンボ(青肌蜻蛉)

トンボ目 カワトンボ科

体長53~61㎜

ハグロトンボによく似ているが、体の青い部分がより多い事からこの和名がついた。

羽化した周辺から離れることなく一生を終える。

雌が求愛を受け入れると、雄は雌のはねの白い斑紋を目指して降下し、交尾する。このため斑紋を黒く塗りつぶしてしまうと、行き場を見失って交尾が出来なくなるという。

 

福地では、7月から田んぼの横の小川や、用水路で見られます

オジロサナエ(尾白早苗)

トンボ目 サナエトンボ科

体長37~44㎜

ほっそりとしたサナエトンボ。

雄の尾部付属器が白く、和名の由来にもなっている。

幼虫は、触角のつけ根と背中、腹の先がクリーム色で美しい。

成虫は上流で産卵し、ふ化した幼虫は川を下って下流で羽化する。羽化した成虫は成熟するまでは近くの林で過ごし、再び山沿いに川を上がって上流に帰っていく。

 

 福地では8月に見る事が出来ましたが、個体数は少ない。

コノシメトンボ(小熨斗目蜻蛉)

トンボ目 トンボ科

体長36~48㎜

ノシメトンボに似ているが、体格は本種のほうがひと回り小型で、胸側の面黒色条は逆U字状で区別がつく。

翅の先端にある黒褐色の斑紋が目立ち、雄の尾部上付属器の先端は若干上に反り返り、雌の腹部第8節にある産卵弁はやや突出する。

未熟なうちは雌雄とも体色は黄褐色をしており、翅の先端の褐色斑は薄い。成熟すると、雄はナツアカネ同様全身が赤化するが、雌は背面の橙色が濃くなる程度である。

 

福地では、8月から見られますが、個体数は少ない。

マユタテアカネ(眉立茜蜻蛉)

トンボ目 トンボ科

体長35~41㎜

眉を立てたような黒い斑紋が顔にある事が、和名の由来。

林の縁などのやや暗い場所を好む性質がある。

羽化した個体は水辺から離れた林に移動して過ごし、成熟すると水辺に戻り、なわばりを確保する。

交尾は水辺の植物の上でも行うが、交尾の姿勢のまま何度も場所を変える事もある。

 

福地では、8月から見る事が出来ましたが、個体数は少ない。