福地の田んぼにいる水生昆虫

コオイムシ(子負虫)

カメムシ目 コオイムシ科

体長 17~20㎜

オスがメスの背中に卵を産みつけ、オスが背中に卵を背負って世話をする。孵化するまでの約1ヶ月間、背中の卵塊を水面から持ち上げて1日を過ごす。

呼吸方法はボンベ型。水面まで行っては、はねと背中の間に空気をためて呼吸をしている。

 

食べ物 魚やカエル、貝類などの体液。

 

有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼで、作業シーズンを通して多く見られる事の出来る水生昆虫です。

マツモムシ(松藻虫)

カメムシ目 コオイムシ科

体長 11.5~14㎜

体は厚く盛り上がり、長い卵型。

前方の2対の̪肢は短く、餌を捕らえるのに用いる。後肢は長く遊泳毛があり、普段は水面に腹側を向けて仰向けに泳ぐ。尾部、肢には細かな感覚毛があり、水の振動を受けて捕食行動に移る。

おとなしそうに見えるが、安易に触ると刺されることがあり、かなり痛い。

 

食べ物 小昆虫やオタマジャクシ、小魚などの体液

 

有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼで、作業シーズンを通してコオイムシに次いで多く見られる事の出来る水生昆虫です。

タイコウチ(太鼓打虫)

カメムシ目 タイコウチ科

体長 30~38㎜

大形の水生カメムシ。

和名の由来は、太鼓を打つように前肢を交互に動かすため。

尾端には体長と同じくらいの長い呼吸管がある。これは内側に溝のある1対の付属物が合わさって管となっているものである。長い呼吸管の先を水面から空中に出して呼吸するシュノーケル型。

前肢の腿節は太く、脛節は鎌状になっており、基部には1本の大きな刺をもつ。これらは餌生物などを捕らえるのに適しており、海外では「水中のサソリ」と呼ばれることが多い。

 

食べ物 水生昆虫やオタマジャクシ、小魚などの体液

 

個体数は少ないですが、有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼでは見られる事が出来る貴重な水生昆虫です。

ミズカマキリ(水蟷螂虫)

カメムシ目 タイコウチ科

体長 40~45㎜

体型は円筒形で細長く、肢も細長い。尾端には体長と同じか、やや長い呼吸管をもつ。呼吸方法はシュノーケル型。呼吸管の構造はタイコウチと同じで、2本の付属物が合わさったもの。体型や前肢の形状がカマキリに似ているのでこの名がある。

 

食べ物 ほかの昆虫、オタマジャクシ、小魚

 

個体数は少ないですが、有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼでは見られる事が出来る貴重な水生昆虫です。

ヒメミズカマキリ(姫水蟷螂虫)

カメムシ目 タイコウチ科

体長 24~32㎜

体型は円筒形で細長く、肢も細長い。尾端には体長の2/3ほどの長さの呼吸管をもつ。ミズカマキリとは、全体的にひと回りほど小型である事と呼吸管の長さで区別出来る。前肢に三角形をした2つの歯がついている。ミズカマキリは1歯。

 

食べ物 おもにアメンボ

 

個体数はミズカマキリより少なく、有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼでは見られる事が出来る貴重な水生昆虫です。

 

シマゲンゴロウ(縞源五郎)

甲虫目 ゲンゴロウ科

体長 12.5~14㎜

前ばねに特徴的な黄褐色の斑紋が入る。和名は縦に2本入った斑紋が縞のように見える為。腹面は赤褐色。

 

食べ物 ほかの昆虫や小魚

 

個体数は少ないですが、有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼでは毎年見られる事が出来る貴重な水生昆虫です。

モンキマメゲンゴロウ(紋黄豆源五郎)

甲虫目 ゲンゴロウ科

体長 7.5~8㎜

光沢のある黒い体に黄褐色の美しい斑紋がある小形のゲンゴロウ。

斑紋は個体差が大きく、ときに斑紋が全部消えてしまう個体が現れる事もある。石の下などに隠れている。

水温にもよるが、1回空気をたくわえると、2~10分は水中で潜っている事が出来る。余分に取り込んで空気は、泡にして捨てる。

 

食べ物 ほかの昆虫や小魚

 

シマゲンゴロウより個体数は少なく、有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼで見られる事が出来る貴重な水生昆虫です。

ガムシ(牙虫)

甲虫目 ガムシ科

体長 33~40㎜

ゲンゴロウに似た黒くて大きな甲虫。

ただし、ゲンゴロウほど泳ぎは得意ではないようで、後肢を交互に動かして移動している姿は、泳いでいるというよりも、バタバタともがいているようにも見える。

和名は、腹部の牙のような突起がある事からつけられたと言われている。

 

食べ物 水草や藻など

 

8月に田んぼの落水をする時、多くの成虫を見る事が出来ます。

ヘイケボタル(平家蛍)

甲虫目 ホタル科

体長 7~10mm

夜行性で夜間に発光する。ゲンジボタルに似ているが、やや小さい。前胸背(胸部第1節の背中側)は薄赤色~ピンク色で、中央に太く黒い筋が入る。オスの成虫は、本州以西では約0.5秒に1回光り、少し尾を引く光りかたをする。

幼虫は15㎜前後。成虫・幼虫ともに発光器をもっている。

幼虫は止水域の水中に生息し、ヒラマキミズマイマイやモノアラガイ、ヒメモノアラガイなどの貝類や、水生昆虫の幼虫や弱ったオタマジャクシなどを食べる。

 

食べ物 水滴を吸うだけで、ほとんど何も食べない

 

有機肥料、無農薬、減農薬の田んぼでは毎年、6月から7月にかけて多くのヘイケボタルが舞う所を見る事が出来ます。

ゲンジボタル(源氏蛍)

甲虫目 ホタル科

体長 12~18mm

日本最大のホタル。昼間は日の当たらない涼しい葉陰で休んでおり、夕方、あたりが薄暗くなる頃、光り始める。

幼虫は、清流に棲む。カワニナやタニシなどの水生巻貝をとらえ、噛みついて消化液で溶かして食べる。

翌年の7月頃、雨の降る日に岸に上がり、土の中に潜って蛹になる。

 

食べ物 水滴を吸うだけで、ほとんど何も食べない

 

ヘイケボタルより個体数は少ないですが、毎年、田んぼ横の山際の川の上を舞うのを見る事が出来ます。